
人間の”かむ”という行動は主に、下の顎(あご)を動かします。
下の顎を挙げてくる事によって下の歯を上の歯にかみ合わせてくるのです。その時の上下の歯の接触状態を”かみ合わせ”と言います。
下のあごは、頭蓋から両側のあごの関節(顎関節)を介してぶら下がっている構造になっています。
そのため、上下の歯がかみ合った状態においても、下のあごは前後左右にスライドして、動くことが可能なのです。
したがって”かみ合わせ”は

この2つの要因から成り立っています。

良くないかみ合わせの事を、不正咬合(ふせいこうごう)といいます。
上、下の歯自体の問題による不正咬合
- 歯が抜けたままになっている
- 歯並び、歯のはえている位置が悪い
- 歯周病で歯が動揺している
- 治療で入れたかぶせ物が高すぎる
- 入れ歯があっていない etc...
歯自体には、何の問題もないのにかみ合わせが悪い事がよくあります。
それが
あごの位置のズレ(顎偏位)の問題です。とても、きれいな歯並びでお口の中を診ただけでは、何の問題もなさそうに見えても、かみ合わせた時に上下のあごの位置がズレていると、安定した歯の接触状態が得られないのです。これが顎偏位による不正咬合です。
あごのズレ(顎偏位)による不正咬合の原因
- あごの関節のトラブル
- あごの変形
- そしゃく筋の問題
の要因
- 全身の問題 etc...
これらの中で、一番頻度が高いのは、実は”全身の問題”からのあごのズレなのです。
お口も、体の一部にしかすぎない事を考えれば当然の事なのですが。

下図のように”あごのバランス”と”全身のバランス”との間には
いろいろなシステムを介して密接な関係があります。

@あごのバランスがズレると、全身のバランスに歪みを起こします。
不定愁訴や様々な症状をひきおこします。
歯が原因で?の項目をご覧下さい。
A全身のバランスが悪いと、あごのバランスがズレます。
例えば、捻挫、骨折、オーバーワーク、等々
何らかの原因で、全身のバランスが乱れると、
すぐにかみ合わせに影響を与えるのです。
○したがって、その人にとって”本当に良いかみ合わせ”(あごの位置)とは
全身のバランス(体全体の形態と機能の調和)のとれた状態から初めて生まれてくるのです。

人間は、心身統一体であり、心のバランスと身体のバランスとは
切りはなして考える事はできません。
したがって”かみ合わせ”と”心の問題”も密接な
関係にあり、お互いに影響し合っています。

〜心療歯科の症例〜
Dさん(♀21)は「左側の奥歯が痛む」という主訴で来院されました。
お口の中を診ても、全くムシ歯もなく、歯周病やその他異常所見が見当たりませんでした。
そこで、カウンセリングコーナーに移動し、A.Kを行いながら問診し、その原因を調べてみる事にしました。
<原因>
彼女は現在、自分の人生の選択に悩んでおり、自分がやりたいと思っている進路に進む事に、大きな不安を持っていました。
周りの学生はどんどん就職を決めていくというストレスの中、どうしたら良いのか、相談する人もなく、自分一人でいっぱい、いっぱいになっている胸の内を泣きながら話してくれました。
<治療法>

これを同時に行う事で、一切歯を削る事なく、また薬に頼る事なく症状は改善していきました。
<考察>
このケースでは、次の様な機序で歯の痛みにつながっていたようです。

彼女の”歯の痛み”は内からのSOS信号だったのかもしれません。